「ワールドオーガナイジングデー(世界片づけの日)」は、片づけのプロの協会の国際連盟により、5月20日に制定された国際的な記念日。世界中の片づけ整理収納のプロや専門家たちが、片づけや整理の重要性を広く伝え、共に学んでいく日です。
日本では、5月20日のワールドオーガナイジングデー当日に、東京北区の北とぴあドームホールにて、一般社団法人日本片づけ整理収納協議会(略称JCO=ジェイコ)主催で、配信なしのリアルイベントを開催しました。
開会に際し、JCO/日本ライフオーガナイザー協会の髙原真由美代表理事より、挨拶を申し上げ、ワールドオーガナイジングデーの取り組みについて制作されている動画をご覧いただきました。
第一部『3社に伺う!整理収納の今と見据える未来』
片づけ整理収納のプロにとって切っても切り離せないアイテムやサービスを生み出している3社の方をお迎えし、企業から見たサービス事情や、収納用品やサービスを提供するうえで意識していること、プロへのおすすめ、そして見据える未来など、WODならではのお話をしていただきました。
トップバッターは、ブラザー工業株式会社様。
JCOの立ち上げ当初から支えてくださっている、賛助会員の企業様でもあります。
ブラザー工業といえば、長年にわたって技術回心と製品改良を重ね、グローバルな視点を活かし、国内外で信頼されている製造業の代表格。
ご登壇いただいたのは、ブラザー工業株式会社 第1事業推進部商品・マーケティング企画グループ ラベリング・スキャナ商品企画チームマネージャー 森祥樹様です。
片づけ整理収納の現場では、視覚的に意味づけができるラベリングが必須です。
今回は、ラベルを作る際に愛用しているプロも多い、ピータッチキューブのことを中心に、お話しいただきました。
なぜ、耐久性に優れているのか。なぜ、あのキューブ型なのか。どんな書体やイラストが人気?さらに、昨年スタートした新サービスもご紹介いただきました。
常に進化し続けるピータッチキューブ。スマホとの連携によってシンプルで扱いやすいのに、多機能でデザイン性も豊か。そして、どの角度から見てもストーリー性のある美しい形状。
ピータッチキューブというラベルライターは、ただの事務用品から、暮らしのアップデート、暮らしをより豊かにする体験をもたらしてくれるプロダクトであるということを、改めて感じるお話しでした。
続いてご登壇いただいたのは、寺田倉庫株式会社様。
伝統的な倉庫業にとどまらず、時代の変化に柔軟に対応し、付加価値の高いサービスを提供している寺田倉庫様。ご登壇いただいたのは、寺田倉庫株式会社 MINIKURAグループ グループリーダー 浅見開様です。
クライアントの中には、「捨てたくない。でもスペースもない。」という方も。そんなときに、宅配型トランクルームとしてminikura(ミニクラ)をご紹介している片づけ整理収納のプロもいらっしゃると思います。そのminikuraを中心にお話いただきました。
誰でも簡単に預けやすい、使いやすいだけでなく、クリーニングや寄付など預けた後の豊富なオプション、さらに防災やフィギュアに特化した多岐にわたる保管サービスは、片づけ整理収納サービスの中に取り入れやすく、クライアントにご紹介しやすい。
コレクターをはじめ、アート業界では広く知られる寺田倉庫。温度湿度管理や取り扱い方法、管理体制など鑑みると、倉庫業界では圧倒的です。イベント終了後には、知的財産である書籍を所有しているクライアントに紹介したいという声もありました。
モノの所有の仕方、管理の仕方で、そのモノ自体が持つ“意味”や“価値”が大きく変わってくる。モノを減らすということを提案することも大事ではありますが、モノをどう持つか、どう管理するかをしっかりと適切に提案できる片づけ整理収納のプロこそが、深い共感や信頼を得られるのでは・・・。そんなことをお聞きしながら感じました。
今後は片づけ整理収納の部門も注力していくとのこと。現場に出たいと思っている片づけのプロも、minikuraを要チェックです。
3組目にご登壇いただいたのは、ライクイット株式会社様。
収納用品は、まさに片づけの現場では重要なアイテム。シンプルで使いやすい生活用品、長く快適に使えるものづくりを徹底しているライクイット株式会社様。
今回は、ライクイット株式会社 代表取締役社長 吉川和希様にご登壇いただき、ユーザーのニーズを的確にとらえた製品開発、洗練されたデザインはどうやって誕生しているのか。機能性・審美性・環境性を軸にお話しいただきました。
様々なシーンにマッチしやすく、ミリ単位で設計され、さらに人の動きや目線、手の届き方まで計算されたプロダクトは、シンプルで見えないところまで人に寄り添うデザインであるということを実感。
国内外のニーズに合わせ、長く愛用されるモノづくりを徹底している製品は、「価値のある日常」を提案する片づけ整理収納のプロとしては、常にチェックしておきたい存在です。
最後には、配信なし、録音録画なしだからこそお聞きできた、とっておきの情報も!ここに書けないのが残念です。
3社それぞれに個性と明確なビジョンがあり、刺激をたくさん受けました。それぞれの企業様の強みを知ったことで、これからの現場でクライアントへのアプローチも変わってくると思いますし、ご自身がどんな価値を生み出していきたいか。考えるきっかけになっているのではないのでしょうか。
第二部『片づけトッププロの真髄』
片づけの資格取得者が増えたことにより、片づけ整理収納を生業とし、SNSやメディアで発信をするというスタイルで活動する人も増えている昨今。その中でも、SNSなどを積極的に取り入れなくても、現場主義でトッププロとして走り続けるお二方にご講演いただきました。
おひとり目は、一般社団法人日本収納デザイン協会・幸せ収納デザイン株式会社 田中明子代表。
歯科医院の環境整備・デザインに、とにかく強い。
おそらく、医療業界へのアプローチはどこよりも早かったですし、特に歯科での効率化や働きやすい環境づくりを行っている片づけ整理収納のプロで右に出るものはいない、と断言できます。
SNSで発信しない理由。それでも依頼が絶えない理由。クライアントとのやり取りで大切なこと・・・まさに赤裸々に語っていただきました。
また、実際に歯科で働いている方にもご登壇いただき、まさにリアルな感想をお聞きすることが出来ました。理論と実践、思考と感性が絶妙なバランスで共存している、田中氏の仕事。
メモが必須だったのではないでしょうか。
そして「○○を信じる力」。
このワードは、片づけ整理収納のプロとして働くうえで、とても大切で心に大きく響いたと思います。
おふたり目は、スッキリ・ラボ代表 片付け士 小松易氏。
これまでに、2万人以上に片づけの指導や講演を行ってきた小松氏。
企業コンサルタントの手法を、包み隠さずお話しいただきました。
コンサルタント全体の流れ、クライアントとのコミュニケーションの取り方、そして、誰か一人が頑張るシステムにならないよう、個々で考えるために用いる記入用のシート。
実際に小松氏のコンサルを受けた企業の方の動画や、今回のイベント参加者用の資料もご用意いただき、たびたび入るクイズとともに、頭をフル回転しながら聞き入りました。
JCOの立ち上げ当初から、「片づけ×○○」。
○○には何でも入れることが出来る。片づけは未知数。
そう仰っている小松氏のコンサルは、綿密に練られているもののとてもしなやかで、状況の変化にも柔軟に寄り添いながら確実に本質に導くもの。片づけ整理収納のプロが取り入れていきたい内容が詰まった講演でした。
あっという間に過ぎた3.5時間のWODイベントin Tokyo 2025。
閉会挨拶として、JCO/ハウスキーピング協会の澤一良代表理事より感謝の意を申し上げました。
多様な視点と深い知見に触れた一日。プロとしての在り方を改めて見つめ直す、気づきと学びに満ちた貴重な時間となりました。
ご登壇いただきました皆様、そしてご参加いただいた皆様に、心から感謝いたします。
事務局長・司会進行 あさがみちこ