JCO版私の履歴書 #012 Ritta Stanza 中山真由美 (文字起こし)

『JCO版私の履歴書』。片づけのプロに過去現在未来の3枚の写真をもとにご自身の半生を紐解いていただく企画です。

第12回のゲストは、Ritta Stanza の中山真由美さんです。

自分の家が散らかっているとも思っていなかった

これはどういった状況の写真ですか?

これは私の離婚直後の写真でして、この場所は寝室の中にあります。 
ここ高さも2メートル以上ある、棚も何もない大きな空間なんですが、当時片づけが苦手だった時に家を建てまして。結婚して10年目に離婚したんですけど、結婚してすぐに家を建てたんですね。でも本当に片づけが苦手でして。どれだけ苦手かっていうとこの写真からもわかると思うんですが(笑)
まずすごいエピソードが、独身時代に彼氏が遊びに来て、座ってましてね。昔、棒の先に手の様なものがついていて、取っ手のようなところを操作するとその手のような部分がぎゅって握ったような形にるおもちゃがあったんです。

マジックハンドのことですか?

そうですそうです。さすが髙原さん!

いやいや(笑)

そのマジックハンドが家にありましてね、その彼氏が、テーブルの上にあった山からマグカップを発掘して、それでマジックハンドでほいっと私に渡すぐらい(笑)
それでカビが生えてるぞって言われるぐらい(笑)
本当に触りたくないからそれを使ったんでしょうね。それぐらい脱げば脱ぎっぱなし、置けば置きっぱなし。そのうちどっかいっちゃう。それぐらいの汚部屋だったんですよ。
で、その時に家を建てましたので、大きい空間があれば片づくと思っていたので、設計士さんの話を全無視しまして、「この大きな空間は棚をつけないと使えないですよ」と言われたのに、「いいんですいいんです。おっきい空間があれば私は片づくんです」ということで、これ寝室手前がベッドなんですけどね、その後ろに大きな空間をばーん!と作ったんです。
で、結局フタつきの収納ケースをだ~っと積み上げて、下のモノを撮るときは上のモノをよけずにフタだけ持ち上げて取っていく。で、フタがバリバリッ(と壊れる)

もう典型的な片づけが苦手な人のお家って感じですもんね。(笑)

で、もう(この撮影時には)離婚しているのに、まだここに旦那さんのセーターがあるという(笑) 持って行かすこともできずに(笑)そんな感じです。

これは今から何年ぐらい前なんですか?

これはそうですね。結構前ですね。この世界に入って14年ぐらい経つので、15~6年ぐらい前ですかね。

でもこんなひどいと言ったらあれですけど、こうした暮らしをしていた人が、今片づけのプロとして本を何冊も出すというところまで・・・15年間何があったんですか?(笑)

(笑)そうですね。これは本当にもう、私は幸せだったなぁと思うんですけど、自分の周りが整理収納アドバイザーばっかりで、なんて言うんですかね。
整理収納アドバイザーの資格を取ると、友達が増えますよね。

その資格を取ったきっかけというのは何なんですか

そのきっかけは、そもそも私は人の家に行って片づけようとも思わないし、片づけが苦手だとも思っていなかったんですね。人の家を片づけるなんて絶対無理って思っていたんですよ。でも(自分の家が)散らかっているとも思っていないし。
ある日働く女性を応援する派遣会社に勤めていたこともありまして、そこでは営業をやってたんですけど、そこに登録しに来られた女性の方が、整理収納アドバイザーの資格をもっていらして、で、「私を登録してください。」と。
その当時派遣会社には35歳の壁というのがありまして、50歳近くになるとどこも登録してくれないということがあったんですね。
でも私の働くところでは「働く女性を応援する」というコンセプトでありましたので、どういった資格なんですか?とかお聞きして・・
で、たまたま引っ越し会社の社長様と知り合いだったので、そこに派遣をさせていただいて、整理収納事業部を作ったんです。

その時はまだ中山さんは整理収納の仕事をしていたわけではないんですよね。

そうです。その方を派遣して、引っ越し会社さんに整理収納事業部を作って、その方の仕事を営業で取ってきて、セミナーを設定して、話すときは前座です。
「今日は先生をお呼びしました!」みたいなことをしていましたね(笑)

そこからプレイヤーの方にいったきっかけって何なんですか?

そうですね。カタログを作ることになりまして、その会社さんで生活サポートという部署を作ると。なので、ビフォーアフターをきちんと載せて「お掃除と違うんですよ。」ということを伝えるカタログを作りましょう。ということになったんです。
そこでモニターになる家が誰もいないと言われて、「中山さん家いいんじゃない?」と言われたけど「いや、家はきれいだから~」なんて言ってたんですが、結局仕方なく家になったんですよ。で、いざうちに来て、私は家が汚いと思っていなかったんですけど、その当時のアドバイザーさんから「中山さん、あなた末期よ」と言われて。

めっちゃいいネタ見つけたみたいなね(笑)

そう。「はぁ、末期だったんだ」みたいな。
で、初めて散らかっているという感覚がイメージができたというか、そこで当時は整理収納アドバイザーは資格が出始めだったので、めっちゃ怖かったんですよね、みんな(笑)
「使うの使わないのどっちなの?」「・・・使わないです。」とか
「離婚してるんだから3人目産まないでしょ」と言われて、すぐ捨てられちゃうんですよ(笑)

今はねそんなことは・・・

今そんな方は少数派かもしれないですけど、当時は出始めだったので。

ま、そういう厳しめな方が多かったというか

はい。でも振り返れば私には厳しい方が良かったみたいで、その当時の私には必要でしたね。一気に。あまりに眺めすぎちゃって、使うかどうか考えていると記憶に残るということも経験しまして、これはまずいな。と。
まず捨てるという概念がなかったので、片づけは使わないモノは使わない部屋に移動すると思っていたんです。

まさにこの写真もそんな感じですよね。

これ押し込んでますよね。冬に使わなかったあんかは下の方にポンっと置かれ、まぁこんな感じだったので、自分の中で「捨てた」ということが目から鱗だったんですね。
そこでこれは、ビジネスになるんじゃないかと思いまして、これは人助けにもなるし、社会貢献にもなるし、資格を取った時にその方が「仕事がない」と言っていてたのでこれはちゃんと回せば完全に仕事になると思ったんです。

おーっ

そこでまずは自分でやってみようと思って、整理収納アドバイザーの2級の資格をとって、その当時「1級の資格はまだいいわよ」って言われていたんですけど、それから1年ぐらい経ってから1級資格を学んで、まぁその方のアシスタントに入らせていただいたり、いろいろしながら学んで、自分の家もなんとか。
最初はこんなにきれいになった!と思っていても今見るとダサく収納されていたり、全然理論が通っていない収納の仕方をしていましたけど、まぁそこで整理収納が好きになったんですね。
で、一緒にビジネスを構築したかったんです。なので、片づけたいという気持ちもあったんですけど、これを世に広めて、私と同じようにできない方がいらっしゃるだろう。そういう方のお役に立ちたい。と。
それで資格を取ったら仕事がある世の中にしたいと思ってこの世界に入りました。

それが2枚目につながっていくんですかね。

そうですね。人の家なんか絶対いけないと思っていたんですけどなぜかね。